薪原木入荷しました

来シーズン用の薪の原木(ナラ)が入荷しました。ふるさと納税返礼品としての「無有の薪」は順調に出荷数を伸ばしています。住所がマンションからの注文が沢山あるので、ストーブのみならずバーベキューやキャンプファイヤー用に使っているようです。地場産品という総務省の指導や、赤谷プロジェクト使用限定で日本自然保護協会に1箱につき400円寄付することなどが追い風になっているのかも知れません。しかしAmazonでは苦戦していたので出店を一時見合わせました。HPからのご購入でも寄付をしていますのでで是非ご購入をお願いします。

『よみがえる蔵』全国事例集44選 丸善出版 2012年刊 掲載記事 

モーガン家別荘
日米の文化を尊重した快適な空間(移築再生)
群馬県利根郡昭和村→同県利根郡みなかみ町
設計・施工:㈲建築工房無有

設計者から
建築主のお一人がアメリカ人なので、当初から文化の違いを共有することができるか否かが成功のポイントであると感じていた。設計にあたっては、蔵の外観を損なわず、いかに建築主の望む快適な居住空間を造るかにエネルギーの大半を費やした。
外観を優先したため、内部の間取りに先行して窓の位置と大きさを決定した。壁のバランスを壊さないように同一サイズ・同一の横滑りサッシを等間隔に配置した。窓まわりの縁取りを広く深くしたことで蔵のイメージを再現できたと思う。1階は車庫兼ホビースペース、2階を居住空間にするためには、解体した13尺の柱をそのまま利用したのでは階高が不足してしまう。そこで壁を兼ねる基礎を法律上許される最大高に設定して階高を稼いだ。当然再生前の蔵より高くなったが、「まわりの風景に溶け込んでいる」と建築主から評価していただいてホッとしている。
内部に関しては、別荘利用でも事務所としての活用が多いので、日常生活臭を表に出さないように配慮した。たとえば、キッチンは格子の建具で隠す、トップライトのコントローラーを収納内部に設置する等々。施工では、梁間方向を広げた設計や、屋根部分が傷んでいたため新規に作成したことなどで予想以上の困難な仕事になり、工期が長くなってしまった。しかし、蔵の一つの完成形を示すものができたし、日米それぞれの文化を尊重した造りになったと確信している。(河合純男)

社長のコラム

HPがリニューアルし、ボリュームが増えました。建築から人の営みを見つめたり、循環型社会の実現に向けて多様な視点から発言したコラムです。
過去に発表したものもありますが、ご一読いただければ幸甚です。

よみがえる古民家(1)
サスが青空に向かって立ち上った。谷川岳の見える場所に古民家を建てたいとの要望をT氏から相談されてから時は大分すぎた。近隣で空家になっている古民家や、建築関係者の情報提供に基づいた古民家を何度となく調査した。それでもT氏の希望を満足させる家にはなかなか出会うことが出来なかった。結果につながらない時間だけが過ぎて行った。 
筆者の情熱も冷め始めたころ大工仲間から150年ほど前に建てられた養蚕農家を壊し、新しい住宅を建てるとの話が飛び込んできた。T氏は3時間もの時間をかけ、何度となく足を運びその家を観察し続けた。その結果、「今まで見た中では一番希望に近い」との認識をT氏と筆者は共有出来た。奥利地方特有の兜つくり(赤城型民家と呼ぶこともある)で、外観を特に気に入ったようであった。
古民家再生には、大きく分けて現地再生・移築再生がある。その中には部分再生や部材利用もあるが、今回のプランは移築再生の典型であり構造材のほとんどを利用することになる。一本一本実測し、番付けを振り、丁寧に解体運搬しなければならない。
組みだけになっているわけではないので、果たしてこの家が希望の古民家再生につながるか一抹の不安を抱えたまま解体作業に入った。(河合純男)

共著「よみがえる蔵 全国再生事例44選」日本民家再生協会編 丸善出版 平成24年
共著「民家再生の魅力 全国・事例集」日本民家再生リサイクル協会編 相模書房 平成15年

「自然の権利」基金通信 http://www.f-rn.org/に連載中です